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眠れる姫③ (破~Qまでのカヲアス)

眠れる姫(破~Qまでのカヲアス

続きはとりあえずここまで2018年に3月現在までの分です。
色々とねつ造してますのであしからず。


カヲル…、か。

アスカはカヲルの名前を薄暗い病室の部屋で呟いた。



チルドレンとやらであるらしいあの白い髪の少年はあの綾波レイと同じ目の色をしていた。
それとリンクするようにアスカは綾波レイの事を思い出した。

そう言えばあれからかなり時間が経ったらしい。
アスカには昨日の出来事みたいなものだが。



シンジは誰よりも優しくて、そして周りをつねに気にしていたはず。
短い間にしろ一緒に暮らしていた。


シンジは…

「やだやだ、アタシったら何を気にしてるんだろう…」

左右に首を振るように気持ちを吹き飛ばし、ベッドのシーツを首元まで被りアスカは目を閉じた。

目をとじれば瞼にはまっ黒な闇が広がる。

「ふっ…」
徐々に落ち着きを取り戻した。

ばかね、何があったってアタシに関係ないじゃない…
別に家族だった訳じゃないし、特に親しかった訳じゃない。

胸のあたりがモヤモヤしてなかなか寝付けなくてシーツのなかでもぞもぞと寝返りばかりを打っていた。






薄暗い中にカーテンの隙間から薄明かりがさしはじめた。
結局は目覚ましが鳴る前に目が覚めてしまった。


重く鈍ってしまった身体をベッドからゆっくり起こすとアスカはサイドテーブルにあるぬるい水の入ったペットボトルを手すると渇きを潤すため一口水を飲んだ。

まだ、五時前か…まだ早いな…早く起きちゃったか。

素足をひんやりとした床に下ろすと、よろりとしながらも二本の脚で踏ん張りながら頭で繰り返す。

バランスよ、バランス。

ゆらゆらふらふらするものの、とりあえずは歩けはしそうだ。
一歩がなまりでも足に付けているように重く気をぬくとバランスを崩して倒れてしまいそうだ。
筋力がない痩せた足が自分のものでないように鈍い…
それくらいの長い時間をずっとベッドの上で眠っていたからだ。



アスカは早く起きたついでに歩行の練習を始めた。
部屋の中を二周三周と円を描くように.ゆっくりとだか壁に手をつきながら歩く。
寝たきりだったアスカの手足の筋力は確実に衰えているのが自分でもよく分かるくらいだった。
自分の足だというのにもどかしいくらいうまく歩けないでいる。

ついでにいうなら息もすぐに上がった。

四周する頃には肩で息を弾ませてしまい、膝を床につきそうになっていた。

ガクガクとする膝に震える脚元。

思う以上に、全く自由が利かない。
大きなため息を吐くとがくりと首をうなだれた。

「色々鈍ってるな…」
呟く声と同時に目の端に人が立っていたのに気がつくとアスカは驚いた。



入ってきた音も気配もなかった。

それくらい自分はこれに集中していたのだろうか?

「やあ、早いね。おはよう」
「おはよう…ってアンタ勝手に人の部屋にノックもせずに入ってきたわけ?」
「ノックはしたけど聞こえてなかったらしいね。暫くは扉の前にいたんだけど物音がしたからつい…」
「やっぱり集中してたのか…」

いままではどんなに集中していてもそれくらいすぐにも気がついたはずなのに。
身体はまだまだ万全の状態ではないらしい。
気配すら感じ取れないのか。

「早いけど6時過ぎだから朝食でもどうかな?」
「アンタ自分が早くに来た自覚はあるんだ」
「アンタじゃなく、渚カヲルっていうんだけど自己紹介してなかったかな?」
「…アンタで充分だし、まだアタシ着替えすらしてないんだけど」
すっ、とビニールに入っている衣類らしき物を差し出された。
「これを渡しに来たから朝早くにここに来たんだ」
「…そういうことだったんだ。だったら先に言えばいいのに」
「アスカが間髪入れずに話出すからついってやつだよ」
ふんっ、と鼻を鳴らすと奪いとるようにビニール袋を引っ張る。
赤い…服か。
ビニールを破くと中からジャージのような上下がセットで入ってある。そのついでのように間にはスポーツブラの下着も上下1組入っていてた。

それを一緒に渚カヲルも見ていることに気づくと急ぎ手に下着を隠した。

「ありがとう、その着替えたいから外…」
「…ああ、そっかごめん。じゃあ、外で待つから終わったら呼んでくれたらいいよ」
扉に向かい振り返りもせず外にでるカヲルを見送ると、アスカはダサいそのジャージを見つめるとベッドの上に投げ置いた。
「まるであのジャージ姿のアイツを思い出すわね…」
そういや…ヒカリどうしてるかしら…
過去を振り返ってみても仕方がないが、気にならない訳はなくて馬鹿みたいだが少しだけ目頭が熱くなった。


首を横にふり、自分の頬を数回叩くと着替える準備をした。






「お待たせ」
「そんなに待ってないよ」
「ただの礼儀よ。礼儀」
アスカをなめるよう上から下までを見る視線に気がつく。
「なにかヘン?」
「いや、あ、髪か…」
「髪?」
そうトレードマークみたいな、と付け加えていう。
「あれはインターフェースを付けるために結っていたから…」
なるほどね。
頷く横顔を見ていると腕を差し出された。
「なに?それ」
「まだ歩くの不便だからつかまってくれたらと」
「なっ!なによソレ!歩けなくてもそんな腕なんか借りたりしないし、杖さえありゃ自分で歩くわよ!」
だったら、と、アスカは半強制的にというか車椅子に乗せられしまった。


ぶつぶつと文句をたれつつ車椅子で移動した先は誰も使ってなさそうなカフェテリアだった。
「なに、誰もいないの?」
「まあ、職員もあまり多くはないし、ましてや離れの病棟になるから」
「だけど、それにしても病人はともかくここって無人みたいに見えるんだけど」
アスカの言葉、その通りだった。
「とにかくさ、はい」
目の前に出されたのはオートミールみたいな液状化した食べもののようなもの。
「はいってこれはなに?」
「朝食だよ?」
スプーンで数回こねくり回すと、不味そうにしか見えないそれを口元まで運ぶ。
何度も躊躇してから一口意を決して飲み込んでみた。
ゼリーなのかオートミールなのか、あまり不味いとかを感じなくただビタミンやなにかなのかそんな味が喉の奥でした。
味気ない。
まあ、不味いよりはずっと良いが、しばらく食べてない人にしては残念な食事でしかない。
同じようなそれを顔色ひとつ変えずに口へ運ぶ人を横目で見ながらまた一口くちにした。
「こんなの毎日だと最悪だけど毎日じゃないわよね?」
ただなんとなしに会話をしてみると、ああ、毎日こんな感じだよ。などと信じられない言葉が返ってきた。
「え?なに、つまり毎回ひょっとしてアタシこれ食べる訳?」
都合が悪いの?みたいな顔が返されると、アスカはテーブルに突っ伏しながらチョコが食べたいなどと呟いた。




つづく
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