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眠れる姫 ②(破~Qまでのカヲアス)

Q前カヲアス 捏造ストーリーです。
まだまだ続きます。

「なに…?これ?」


口に手を充て挿入されたらしいテーピングを無理矢理剥がし取り払うとそのまま喉に入れられてたカテーテルを思いきり引き抜いた。


躊躇なく息を吐くように無理やり抜いた為、喉がおかしくなるほどの熱さを感じた。
咳が何度も何度もむせるように出てくるもので涙が流れた。

喉がひりひりと焼けるように熱い…

「はっ、あ、…はあ、かはっ」
何度も咽せ肩で息を吐く。
唾液がついた口元を指で拭うと用心深く周りを見回した。
今まで喉に入っていた異物にばかり気を取られていて気づかずにいたが、何かに目が覆われ全く見えない。
アスカはいまの自分が置かれている状況が全く理解出来ずにいた。

「ここは…一体どこなの?」
冷たく硬い台の上に乗っているのは手探りでわかり、視界は何かに覆われるように塞がれているためにいまひとつ事態が呑めずひどく不快だった。
「なによ。これ、なに…」

腕が上がらないし、むしりかくように外そうとするが何故か力が入らずにいる。
痩せほそってしまった身体には腕を上げるだけの力すらもない。
アスカはそれを外すことすら出来ないでいた。

「アタシ…一体どうしちゃったの?」
力の入らない細い腕で自らを掻き抱く。

ここまでの記憶がない。
どうしてか記憶がうまく繋がらない。
 


状況を理解しようも、思い出そうとしても最後に覚えるのは…最後は…あれは
あれは確かエコヒイキの代わりにアタシがテストパイロットを志願した。

ミサトとたしか暫く話てた。

インテリア固定とのあの知った声。

起動して、しばらくして、アレを…アレをどう…したっけ?


…ああ、やだっやだ…やだっ!
アスカはなにかを遠ざけるよう、空をかいた。

なにか大きななにか…光が迫ってきて、無数の光の中になにかがいて…
光が、光…顔…誰かの顔?
アタシ?アタシ?アタシの顔?
違う…ちがう…あれは誰?誰?

自分の意識の中、奥深い場所を侵すように入り込んで…
なにかが無理やりに、勝手に不快な場所へ入り込んできた。

あの不愉快な違和感。

刺すような、不快な…

アスカはゾクッと身を震わせた。

イヤっ、イヤ、イヤ…






「アスカようやく目覚めたのね」
混乱する頭の中、知った声がアスカの耳に入る。

その声に恐る恐る見上げた。
「…み、ミサトなの?」

 








ミサトの声と知らない誰かに、言われるままされるまま部屋を移動させられた。

片目を包帯で巻かれ、白い背中のあいた服にわざわざ着替えさせられ、アスカは白い見知らぬ部屋のベッドに座らされた。
「…」
検査があるとかなんとかで、また身体を色々と調べられるらしいのね…アスカは自分の髪を指で触った。

栄養状態が悪く身体に栄養が必要だからと痩せ細った腕に点滴をうたれながら、大体の状況とやらの説明をうけた。

「アタシが眠ってる間…に…」
起動実験の後汚染され長い間眠っていたらしい。
その間に世界が変化したらしく。

「で、このメガネは誰?」
「彼女は真希波・マリ・イラストリアス」
「ふーん、チルドレンとかそういう類の人物な訳か」
「色々事態が変わってうまく飲み込めないかと思うけどそういう事よ」
「了解、わかった」







昏睡状態で眠っている間に何年かが過ぎたらしい。

見る限りミサト達は最後にみた時より、随分と変わったようだ。
外見も中身も…アタシが知らない人みたい。


まだ足がふらつくからとの理由で車椅子に乗る羽目になった。
だが、ほんの少しの時間だがそれに乗ることで外出を許された。
回復まではあまり動くことを許されなくアスカは暇を持て余していた。

じっとする事は性に合わない。
やることが見つからないアスカは寝てるのも本を読むのもすぐに飽きてしまい、仕方なく不慣れだが車椅子で廊下を散歩することにした。




目覚めた時、数年が経過していた。

全く実感がないが、確かに見知った周りの者が歳を取っていてああこれって本当に現実なんだとアスカは理解せざるを得なかった。

車椅子を進め散歩する中、ふと、窓に映る人物をみた。
その人物を見るなりアスカは声を上げて驚いた。
「なっ、なに?!なによ、これ!!」
信じられない。
こんなことあるの?
我が身にこんなことが起こるなんて…
アスカは口元を手で押さえ用心深く窓まで近づくと両の手を目一杯窓ガラスに確認するよう押しあてた。
何度も何度も確かめるように、窓ガラスを指先で触りふるふると横に信じられないと首を振ると、「嘘、嘘よ、嘘うそ」と数回呟いた。

信じられないのも無理はなかった。

時を止めたままの姿。
それはガラス越しに映る自分の姿…
14歳のアスカが目の中に映っていた。
疑いながらも自分を確かめるように何度も見た。

ミサトや青葉…そして赤木博士は時の経った分だけ歳を重ねていた。なのに…どうして自分は14歳の姿をしているんだろう?
周りは変わって…なのに、何故全く自分が変わらない姿のままなのか。
あれから数年が経ち…時間が経ったぶんだけアスカも大人になり…大人になったはず。
仮に若く見えたとしても14歳よりももっと大人の顔つきや身体つきにはなっているはずだろうし…
想像上はそのはずだった。
なのに身長も伸びてはいなく、多少は痩せてはいるが顔は最後にみた時のアスカのままである。
体を何度も手で確かめるようにアスカは繰り返し触ってみた。

どういう事なのか分からないまま動く事もできずに、時間だけが過ぎた。




「ずっと何時間もそこにいるけど大丈夫かい?」
陽も傾き夕日が体を赤く彩らせる中、その声がアスカの耳に入ってきた。

アスカが振り返ると心配そうな顔を自分に向ける見慣れない少年がいた。


その姿を見る限り同じような年齢か。
見る限りとは、外見はなのだが…

「ガキには用はないわ、さっさとどこかに行ってよ…」
カヲルはアスカの言葉遣いに目をパチパチとさせた。
どうやら機嫌が悪いようだと悟る。
「やけに突っかかるね」
「アンタみたいなガキがこんな所でなにしてるの?学校じゃあるまい…」
学校…
ふと、他のみんなはどうなったのかが頭をよぎった。
「ねえアンタどっから来たの?」
服が…高官が着るあれと同じだと気がついた。アスカは慣れない病棟専用の車椅子を押し進め、ゆっくりカヲルに近づいた。
「その服アンタみたいなガキが着れるような服でもないと思うんだけど。まさかここの職員?まさかだけど…もしかして実はアンタも?てこと?」

ああ、と、カヲルはそんな表情を顔にだした。
アスカが言わんとする質問が何の事なのかがカヲルにはピンときたのだ。

「キミの想像通りボクの時間も止まっている。そしてキミと同じパイロットみたいなものだよ」





1時間程、世界がどうなったのかカヲルの視点でのアスカが知らない空白の時間の話を聞いていた。

威勢のいいアスカにしては一言も何も喋らない状態で話をただ嚙みしめるような顔で聞いていた

ミサトから聞けなかった他のこと。
シンジやエコヒイキの事も知った。

「…ショックだった?」
えっ?
突然のふりに戸惑った。
「…ああ、別に」
感情を表に出さないような顔で言葉にこたえた。
「キミは目覚めたばかりだし、すぐじゃないけど。これからの事だけど、色々やらなければならない事があるらしい」
「そうね。分かってる」
自分は今は位置的にどうなのかは分からないが大尉だった訳だから、軍人としては戦線に復帰するのだろう。
それだけは分かっている。
だが復帰するにしても少しは身体が動くまで戻るには時間があるし。とにかく現状を理解して把握…そして…
「しばらくはキミの案内役を勝手でたいんだけど」
考えを纏めているなかカヲルの声が割り込む。
「え?案内役って」
「ここも見ての通りかなり変わってしまったし、上の人たちはほら手一杯で人を回すことが出来ないからね。あ、必要ないって顔しているけど他の人よりはまだパイロット同士だし見た目も同じような境遇な訳だし」
「…いいわ」
「え?」
「分かった。そうね、面倒な事は避けたいし。アンタで我慢する」
そうカヲルに伝えると、用意された部屋へ車椅子を進めた。
「…明日からきて」
「カヲル…ボクは渚カヲル!アスカさんよろしくね!」
聞こえない振りをしたのか、カヲルに振り返りもせずにアスカは車椅子を進めた。




続く
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テーマ : 二次創作小説(版権もの
ジャンル : アニメ・コミック

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