眠れる姫 1(Qカヲ?52小説)
破アフターでの数年後の設定での52カヲアスです
Q前のアスカが目覚める前のイメで捏造してます。
生命維持の為の呼吸音が部屋の中で響く中、横たわる少女の姿を見下ろした。
このひとつ前の出会い方は最悪だったね?
きっと今のキミは覚えてすらいないことだけどね。
キミは死にそうな表情を浮かべながらお腹を抱えフラフラと廊下を歩き、女子トイレとかいう名前がついた四角い部屋みたいな場所に消えていき、唸るような声や罵倒を外まで響かせてたよね?
だからボクは、どうしたんだろうか?
何があるんだろうか?
と、あの時キミが入っていった場所に近づき入り口付近から覗いてみた。
前屈みになり洗面台の鏡の前で、真っ青な顔をしているのに誰かに向けて怒りを鏡に向かってぶつけてたっけ?
思う存分言い終わったのか、キミは目ざとく鏡に映るボクの姿を見つけ掴みかかり今にも殴り倒す勢いでたしかチカンとか訳がわからない呪文みたいな言葉を言ったキミをよく覚えてるよ。
キミは初めてボクをぼろくそに言った女の子だったね。
チカン…
あの呪文かなにかみたいに思っていた言葉。
いまは何のことだったか既に理解していた。
あの時何をいいたかったかは、有り余る程考える時間があったから良く分かったよ。
確かに、怒鳴られるのは無理なかったね。
あの日は、あの頃のまだボクはそう…この世界の人間つまりリリンに会ったことがなく真っ白な紙の状態だった。
まるでひな鳥が新しい世界に降り立った瞬間みたいな…
例えたらそんな感じに近いんだろう。
すぐこの世界から去る予定だった自分には情報として必要性はなかったのだろうから。
老人たちはボクにはあまり外の世界の情報とやらをくれなかった。
いまと違い真っ白なボクの頭の中の紙には、
キミつまりセカンドや、シンジ君、そしてボクに似たファーストと接したことは色のない真っ白な世界に染み込むよう色がついたそんな感じだった。
思い出を語るような口調で誰が聞いている訳でもないだろう、目の前の彼女に話し続ける。
さてその次は確か部分的にしか思い出せないけど、ボクを模したいくつかの個体が空から降り君を…
弐号機を陵辱してしまったようだ。
ほとんどボクの意思はなく、弐号機はボクらの攻撃で沈黙し君との接触はそれまでだ。
後は・・・そう碇シンジ君を連れ、終末の世界そして沈黙。
ボクらはいくつもの世界で少しづつ違った形で会っていたんだよ。
「多分、聞こえていないと思うけどね」
2人の間を、彼女の生命維持の機械の音が耳障りに響く。
いま目の前にいる君は管に繋がれ自発的な呼吸すらままならなく、僅かな生命力で生き繋がれているんだよ。
ため息を吐くように・・・
まったく、あのがむしゃらで生命力に溢れ自信に満ちていた君はどこへ?
こんな管に繋がれて、生きているのかいないのかわからないようにしか見えない姿。
悔しくないのかい?
手入れされていない艶のない髪。
夕日のように光を放っていた長い髪は輝きを失っている。
顔の上半分が機械に覆われ、青い空のような瞳は閉ざされたまま。
こんな暗い場所では顔の色さえ青白くなり、かつての健康的な肌の艶もない。
セカンドチルドレン。
惣流・アスカ・ラングレー。
いや、いまは式波・アスカ・ラングレーだったね。
襟元が詰まった堅っ苦しい高官の服を身に纏い銀髪の少年は機械に繋がれた眠り姫の張りのない皮だけの痩せた腕にそっと指を滑らせる。
「ふふっ・・・」
前の君ならボクをチカン扱いしてすぐさま殴りかかっただろうね?
口端を上げる。
「ねえ、早く目覚めなよ」
シンジ君がいないこの場所はとても静か過ぎるんだよ。
呼吸装置がついた少女の顔の辺りを見ながら彼は呟いた。
「おとぎ話を知ってるんだ」
とあるおとぎ話の場面にあっただろう魔女の手でいつまでも眠り続ける姫に王子が目覚めのキスをする。
確か童話かなにかのシーンにあったな、と、頭に思い浮かべると目覚めるかもわからないこの眠り姫の唇をめざすとゆっくり屈みそっと触れるだけのキスをしてみる。
「ここは本当にひどく静かでそして退屈なんだよ」
触れるか触れないかのキスを。
目覚めないだろうと思いつつ。
それでも目覚めないだろうかと試してみたかった。
つづく
Q前のアスカが目覚める前のイメで捏造してます。
生命維持の為の呼吸音が部屋の中で響く中、横たわる少女の姿を見下ろした。
このひとつ前の出会い方は最悪だったね?
きっと今のキミは覚えてすらいないことだけどね。
キミは死にそうな表情を浮かべながらお腹を抱えフラフラと廊下を歩き、女子トイレとかいう名前がついた四角い部屋みたいな場所に消えていき、唸るような声や罵倒を外まで響かせてたよね?
だからボクは、どうしたんだろうか?
何があるんだろうか?
と、あの時キミが入っていった場所に近づき入り口付近から覗いてみた。
前屈みになり洗面台の鏡の前で、真っ青な顔をしているのに誰かに向けて怒りを鏡に向かってぶつけてたっけ?
思う存分言い終わったのか、キミは目ざとく鏡に映るボクの姿を見つけ掴みかかり今にも殴り倒す勢いでたしかチカンとか訳がわからない呪文みたいな言葉を言ったキミをよく覚えてるよ。
キミは初めてボクをぼろくそに言った女の子だったね。
チカン…
あの呪文かなにかみたいに思っていた言葉。
いまは何のことだったか既に理解していた。
あの時何をいいたかったかは、有り余る程考える時間があったから良く分かったよ。
確かに、怒鳴られるのは無理なかったね。
あの日は、あの頃のまだボクはそう…この世界の人間つまりリリンに会ったことがなく真っ白な紙の状態だった。
まるでひな鳥が新しい世界に降り立った瞬間みたいな…
例えたらそんな感じに近いんだろう。
すぐこの世界から去る予定だった自分には情報として必要性はなかったのだろうから。
老人たちはボクにはあまり外の世界の情報とやらをくれなかった。
いまと違い真っ白なボクの頭の中の紙には、
キミつまりセカンドや、シンジ君、そしてボクに似たファーストと接したことは色のない真っ白な世界に染み込むよう色がついたそんな感じだった。
思い出を語るような口調で誰が聞いている訳でもないだろう、目の前の彼女に話し続ける。
さてその次は確か部分的にしか思い出せないけど、ボクを模したいくつかの個体が空から降り君を…
弐号機を陵辱してしまったようだ。
ほとんどボクの意思はなく、弐号機はボクらの攻撃で沈黙し君との接触はそれまでだ。
後は・・・そう碇シンジ君を連れ、終末の世界そして沈黙。
ボクらはいくつもの世界で少しづつ違った形で会っていたんだよ。
「多分、聞こえていないと思うけどね」
2人の間を、彼女の生命維持の機械の音が耳障りに響く。
いま目の前にいる君は管に繋がれ自発的な呼吸すらままならなく、僅かな生命力で生き繋がれているんだよ。
ため息を吐くように・・・
まったく、あのがむしゃらで生命力に溢れ自信に満ちていた君はどこへ?
こんな管に繋がれて、生きているのかいないのかわからないようにしか見えない姿。
悔しくないのかい?
手入れされていない艶のない髪。
夕日のように光を放っていた長い髪は輝きを失っている。
顔の上半分が機械に覆われ、青い空のような瞳は閉ざされたまま。
こんな暗い場所では顔の色さえ青白くなり、かつての健康的な肌の艶もない。
セカンドチルドレン。
惣流・アスカ・ラングレー。
いや、いまは式波・アスカ・ラングレーだったね。
襟元が詰まった堅っ苦しい高官の服を身に纏い銀髪の少年は機械に繋がれた眠り姫の張りのない皮だけの痩せた腕にそっと指を滑らせる。
「ふふっ・・・」
前の君ならボクをチカン扱いしてすぐさま殴りかかっただろうね?
口端を上げる。
「ねえ、早く目覚めなよ」
シンジ君がいないこの場所はとても静か過ぎるんだよ。
呼吸装置がついた少女の顔の辺りを見ながら彼は呟いた。
「おとぎ話を知ってるんだ」
とあるおとぎ話の場面にあっただろう魔女の手でいつまでも眠り続ける姫に王子が目覚めのキスをする。
確か童話かなにかのシーンにあったな、と、頭に思い浮かべると目覚めるかもわからないこの眠り姫の唇をめざすとゆっくり屈みそっと触れるだけのキスをしてみる。
「ここは本当にひどく静かでそして退屈なんだよ」
触れるか触れないかのキスを。
目覚めないだろうと思いつつ。
それでも目覚めないだろうかと試してみたかった。
つづく
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