2016.02.11

甘くそしてほのかに苦い気持ち。最終話。

とりあえず今回でこの話のラストです。
前に書ききることができなかった分になるので本当短いです。
時間のない中で書いたのであまり肉つけもできてないですが、取りあえずは終わらせるのを目的に書きました。
もう少し長くも書けたのですが、続きをいつか書いてもいいかなって感じで終わらせてます。
この後どうなるかは、またってとこまでで^^; よくある想像をお任せします的なラストです。


まあ、いいか見てやるってひとだけ↓へGO





アイツったら好きってどういう事なのか分かって言ってるのかしら?


アスカはカヲルが言った言葉について考えていた。


そもそもシンジのことが好きだって言ってたじゃないの。
シンジを好きだといいながらあたしの事も好きだとかありなの?
二股?
いやいやでもこいつってそんな器用な男だったっけ?
ひょっとして小さい子供があの子もこの子もあれもこれも好きだっていうアレと全く同じなのかも。
そうこう考えていた。



「どうするかいま断るよりもまず良く考えてみてほしい」
「その手を離したら…ね。でも、答えは決まってるから、いい?」
その言葉や肩にかかる重みで、現実に引き戻される。
「いいかい?逃げたりしないなら取りあえず離すよ」
「…まったく、面倒くさいったらないわ」
カヲルが鞄を離すとそれを肩にかけるが、うっかり持ち手部分が髪を挟んでしまった。
アスカはひょいと手で持ち上げながら長い髪をひっぱり出した。
「荷物…。洞木さんの家まで送るよ」
かけた鞄をアスカからまた奪うと、重みも感じさせずに自分の肩にそれを担いだ。
「いいわよ。いちいちついて来ないで」
「面倒うなついでに送らせてほしいんだ」
「…ちっ、まったく…もう、好きにしたらいいわ」






時間を取られたものだから急ぎ足に歩く。
通りを歩く人もまばらになり、すれ違うのも残業で仕事を終えた会社員や遅くまでデートしていたカップルばかりだった。
時折一人で歩いているものと勘違いされ、数人にナンパされもした。
その度にカヲルが急いで追いつきアスカをナンパする男からガードしていた。


それ以外は洞木家迄の道をアスカの一歩後ろでカヲルも無言で歩いた。
わき目もふらず歩く後ろ姿はとても彼女らしい。
時折吹く夜風がアスカの赤茶色の髪をなでている。
その髪がふわりと揺れるのをカヲルはただなんとなく目で追った。
たまにアスカが使っているシャンプーの香りが風に乗ってカヲルのところまで香ってきた。


その香りが懐かしいようなそんなおかしな気分になる。

ほんのすこし前まで自分の隣でしていた香り。
腕の中でも抱いていた香りだった。
手を伸ばせば届く距離にいるのに、いまはそれがひどく遠くに感じる。


そんな思い出にかえってる時だった。
「着いたわ」
「…え」
「鞄…着いたから鞄を渡しなさいよ」
「ああそっか着いたんだ」
街燈のに照らされたシルエット。
知った顔が目の前にいる。
心配そうな顔をしたヒカリがアスカを迎えに家の外まで出て来ていたのだ。
「渚…くん」
少し戸惑った声のように聞こえた。
「こんばんわ、洞木さん」
「渚くんアスカを送ってきたんだ。良かったら…」
「ヒカリ。こいつもう帰るみたいだから」
「帰るみたい。な、ようだね」
不穏な雰囲気の中オロオロとなるヒカリの手を取るとアスカはカヲルに振り向きもせずに家の扉の方に進んだ。
「な、渚くん。ごめんね」
「おやすみ。アスカ、洞木さん」
「アスカったら!」
「ヒカリ…いいから、早く入るわよ」
ヒカリが遠慮がちに自分に手を振ると、カヲルもヒラヒラと振り返した。

2人の姿が扉の中に消えても、その姿を見るようにカヲルは手を上げていた。





玄関に入り用心のために鍵をかける音が後ろから聞こえると、小さな声でこっそりと尋ねた。
「いいの?アスカ」
前にかがみストラップのついた靴を脱ぎながらアスカはヒカリの問いかけにこくりと頷く。
「彼、アスカのことを」
「あたしは好きじゃないから…」
「そう…」
「それより、ヒカリと一緒にいると落ち着く…」
振り返りヒカリの肩に首を傾け甘えるようにアスカが懐いた。
安心するのは本当。アイツのとなりだと今はなぜか落ち着かない。
「ふふ、アスカったらっ」
「鈴原なんかには、ほんっっとっ!勿体無い!」
「な、な、なんのこと?!アスカったらっ」
クスクスと笑うとヒカリをぎゅっと抱きしめた。






カチカチと時計の音が響く。寝苦しくなり目が覚めてしまったのだ。
「・・・・・・・・」
うーん、と寝返りをうつが、落ち着かないのでまた仰向けになった。
真っ暗な天井がやけに近くに見える。
なんだか息苦しい。
胸のあたりが押されるように、重苦しい。
大きく深く息を吸いゆっくりと吐いた。
「はぁー・・・」
嫌なのに、嫌なのに。
息苦しいのも、重苦しいのも。嫌い。

シンジのことを考えると、考えただけ、重く苦しい。

なぜだろう?
好きなのに、嫌い。
嫌いだけど、好き。
どちらが本当なんだろうか?
どちらも本当で・・・
アイツの1番じゃないことに、いらいらするしむかむかと無性に腹がたつ。
アタシは1番じゃない… 1番じゃないんだ。

ずっと1番でなきゃと思っていたから、2番なんてなかった。
だから2番目が嫌だった。
エヴァのパイロットであるのもなにもかも1番じゃなきゃダメだったから。
気持ちもなにもかも満たされなきゃいや。
誰かの・・・誰の中でも1番じゃなきゃダメ。
気持ちはどうにもならないのに、わかってるのに。
思っても、思っても、どれだけ思ってもきっとシンジはアタシに1番という気持ちをくれない。

「答えなんか分かってるのに、未練たらしい…」
ヒカリの寝息が聞こえる隣で、アスカは腕で目を覆った。

・・・そうだ。
考えるもなにも自分は未練たらしくても、まだ心のどこかであの男を想ってる。







始業ベルがなるまではまだ早い時間。

珍しく早く起きてしまい、いや、正確には寝れないまま朝を迎えここにいる。
「まだ、好きなんだね」
朝、呼び出されたカヲルがアスカが座る校舎の非常階段の段の隣にゆっくり腰を下ろしながら呟いた。
誰もこの時間ここに来ないのはわかっているから。
「…腹が立つけど、ずっと好きなのは変わらないと思う」
アスカは頬つえをつきながら校庭を眺める。

弱虫だから嫌い。優柔不断なところも嫌い。
たまに、見せる調子のいいところも嫌い。
沢山嫌いな部分があっても、何故か好きになってしまった。
そう語り挙げる嫌いの多さに、思わずカヲルは笑い出した。
それにつられ思わずアスカも噴出した。

「シンジの良さって、まあ、良くも悪くも分かる人にしかわからないのよね」
「そこも込みで結局は全部ひっくるめて好きってことなんじゃないかな?」
その言葉にシンクロし、納得した。
分かっていたことだったが、誰かに言われなきゃ同意できないこともある。
「…そっか」
カヲルは素直に同意するアスカの顔を思わず見入ってしまう。
「まさか気づいてなかったのかい?」
「そんな訳・・・」
しまったな。そんな表情をアスカに向ける。

両足を一度曲げてから伸ばすと、アスカはカヲルに向き直した。


「いまは先のことは分からないけど、アンタのことは嫌いじゃないわ。顔はどちらかというと嫌いじゃない」
「それはいいように取ってはダメなのかい?」
「…まあ、どっちでもアンタの好きにしたらいいわ」
そういえば保留になっていたことだけどと付け加えた。
「で、そうそうボクと一緒には暮らさないのかい?」
「はあ?」
「葛城家を出たいんじゃなかったのかい?」
「それはそうだけど・・・」
アスカは顎に手を当てると、悩む表情をみせる。
「そこはやっぱりまずミサトが許さないと思うわ」
カヲルが答えを聞き出す前に、始業ベルの鐘の音が青空の下鳴り響いた。







その後どうなったかは、またのお話で。



スポンサーサイト

この記事へのトラックバックURL
http://fanfanetc.blog43.fc2.com/tb.php/283-0cf66aa0
この記事へのトラックバック
この記事へのコメント
管理者にだけ表示を許可する