2010.04.08

屋上から見る世界。(カヲル×アスカSS):竜神 貢

今回結局サンクリに出すエヴァの新刊間に合わなくって(汗)、急遽無料配布本をスペースにて(内容はエヴァのカヲル×アスカ(R18指定SS本)になってます)置くことになりましたー。
冊数はそれほど置く予定にないので予めご了承ください。
良かったらサンクリ参加スペースで持って帰ってくださいねw

今回持っていく本リスト。

■創聖のアクエリオン2次創作本:
すとろべりーでいず(R指定)シル受け本。
愛の暴走+R指定(第3版)アポシル本。
あぽろちょこ 全年齢指定 アポシル本。

■エヴァンゲリヲン2次創作
らぶえヴぁ(R指定) アスカ受け本。

他、エヴァの無料配布本が1種類になってます。

時間があれば書下ろし1点物グッズを作って持っていってるかもしれません。笑


今回も相方の貢がLAKのSSを提供してくれましたので下記にたたんでおきます。

WEB拍手毎回押してくださって本当に感謝です♪
創作の励みに(栄養に)しております。



屋上から見る世界(カヲル×アスカ):竜神 貢


少し、風が冷たい。
三寒四温で言うなれば寒の日に当たるのだろう。
見上げれば抜けるような青空。

「あ~さむぅ~い!なんでこんなに天気がいいのに、寒いのよっ!どういうことなのっ?」

校舎屋上の金網を両手で掴み、グランドを睨みつけるアスカを横目に、金網にもたれて座るカヲルがため息混じりに言葉を吐いた。

「放射冷却現象って言って、晴れた日には…」
「知ってるわよ!それくらい!」

カヲルは今日何回目かの、やれやれといった表情をしてみせ、読み差しの小説にもどったのだが、それがアスカには気に喰わない。

屋上には二人ぼっちなのだから、アスカが発する言葉に何か返すのはカヲルのみなのだが、うまく噛み合わないのだ。

「加持さんにもしばらく会えてないし…本当に退屈…あ~!またシンジのヤツ遅れてる…ったく!あれでサードチルドレンなんて、信じられないわ!」

パタン
カヲルが本を閉じて立ち上がった。アスカは見向きもしないで低音で呟いた。

「…なんか文句でもあんの?」
「別に」

カヲルはアスカの横に並んでグランドに目をやった。
なるほど、グランドでは長距離走が行われていて、シンジはだいぶ疲れているのか、後方集団の中にいた。

「彼は間違いなく、サードチルドレンだよ」
「知ってるわよ」
「…」

カヲルは不思議そうな表情でアスカをまじまじと見た。それがまた、アスカの苛立ちに火を点ける。

「な・に・よ?」

くす…
カヲルは笑みをこぼす。爽やかなその笑顔が、更にアスカの苛立ちを誘う。

「セカンドって本当に面白いよ。加持さんのことを言ってみたり、シンジくんのことを気にしてみたり…一体、どっちのことが好きなんだい?」
「は、はぁ?そんなことアンタに関係ないじゃない!気安く聞かないでよ!」

くすくす

「やれやれ、なによ?って問いかけがあったから、思ったことを言ったのに…本当に面白いなぁ」

チッ

アスカは舌打ちすると、カヲルの胸ぐらに手を伸ばし、開襟シャツの襟元を掴んだ。

「アンタ…ケンカ売ってんの?そもそも、アンタがわたしの弐号機に乗れるってのが気に入らないわ!」
「ボクは弐号機に限らず、どのエヴァとでもシンクロできるんだけど?」

カヲルの眼差しは涼しい。

「むしろセカンドよりボクの方が、シンクロ率高いんじゃないかな?」

ぷちーん

アスカの中で何かが切れる音がした。

「言わせておけば…っ!ほんっとに頭にくるわね!私が本気出せば、アンタなんてメじゃないのよ?それに、そんなに知りたいなら教えてあげるわ!私は加持さんのことが好きで、アンタのことが大っキライなのよ!わかった?」

怒鳴り終えると、アスカはカヲルから手を放した。両手をキツく握りしめる。

カヲルが現れてから、ロクなことがない。

確かに弐号機とのシンクロ率はカヲルの方が高いし、シンジはカヲルと妙に仲良くして楽しそうだ。
加持は姿を見せないし、優等生も学校に姿を見せていなかった。
何もかもがつまらないのは、全部この、突如として現れたフィフスチルドレンのせいなのだ。

そう考える一方で、アスカの中の冷静な部分が反論する。

弐号機と上手くシンクロできないのは、集中力を欠いている自分自身のせいじゃないの?
シンジだって、いつも見下して酷い扱いしかしない私より、友好的に接するフィフスと過ごす方が楽しいに決まってる。
加持さんは大人で、中学生の相手なんてしていられないでしょうし、優等生とは友達って言えるだけの仲だった?

きゅ、と唇を真一文字に結ぶ。

人当たりがいいカヲルが受け入れられている事実は、常に虚勢を張るアスカにとっては複雑だった。

「…私だって、アンタみたいに上手くやりたいって思ってるわよ…」
「……」

アスカの身体は小さく震えていた。
カヲルはそれを目の端で捉えていた。

「私だって…これでも一生懸命やってるのに…なにがダメなの?どうしてアンタみたいなのに弐号機を…」
「知ってるよ」
「え」
「セカンドが一生懸命やってること」

カヲルはアスカをまっすぐ見つめた。

「なっ…慰めなんて、いらないわ」
「慰めじゃない。アスカがいつも一生懸命やってるのは、みんな知ってるんだから、焦らなくていいと思うけど」
「…」

カヲルのまっすぐな瞳に、アスカは返す言葉が見つからなかった。たまらず目をそらす。

コイツ、こんな優しかったかしら?

「加持さんが羨ましいな。いつも一生懸命なセカンドに好かれてて」
「…なによ。それ…」
「別に。独り言。…セカンドは自分が思っている以上に、周りから認められてるし、大事に思われてるよ」
「…」

カヲルは一瞬グランドに視線を投げると腕時計に目を落とした。シンジたちは校舎へ入ろうと、移動を始めている。

「次の授業は出るだろ?そろそろ戻らないと」

アスカはまだ、金網にもたれかかったまま、考えごとをしているのか、動く気が無さそうだ。
カヲルはまた困ったような表情をして、先に歩き出した。

「お先に」

校舎に入ろうとドアのノブに手をかけた時、アスカの声が追ってきた。

「ねぇ!その…さっき、アンタのこと大っキライって言ったけど…撤回するわ。
アンタのことは、キライに昇格しとくから、感謝しなさいよね!」

カヲルは背中を向けたまま、アスカに右手を振るとドアの中に姿を消した。

「なによ、アイツ…振り返るくらいしなさいってーの!」

アスカの髪を一陣の風が巻き上げた。
髪を押さえる、アスカの表情は少し、笑っているように見えた。



END
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